モロヘイヤ
モロヘイヤはビタミン、ミネラルを多量に含んでいて栄養価が高く、クセのない味の野菜です。日本には1980年頃に導入されたそうです。
モロヘイヤの原産地は、インド西部からアフリカ大陸です。そのため発芽適温は、25度と比較的高めの植物です。
エジプトやアラビア半島では5千年も前から常食されてきたと言われています。
モロヘイヤとは、アラビア語で「王様の野菜」という意味です。この意味が示すように、古代エジプトでは、王様を含め上流階級の人々の重要な栄養源とされていたそうです。
モロヘイヤは、高温でも旺盛に成長し、葉もの野菜が不足しがちな夏場に長期間収穫できるため重宝する植物です。栄養価が非常に高く、カロテンやビタミンB2、ビタミンC、カリウム、カルシウムなどを大変豊富に含んでいます。
葉を刻むと独特の粘り(ムチン)が出てくるのが特徴で、その独特のヌメリには、水溶性の食物繊維が豊富に含まれています。
食物繊維には、コレステロール低下作用があるとされるほか、便秘の改善にも役立つといわれています。また、血糖値の上昇を抑えたり、胃壁を保護する効果もあります。
食べ方として、モロヘイヤの栄養豊富な茎葉をスープや天ぷら、おひたしなどに利用するといったものが一般的です。
そこで、強い日差しにも負けることなく元気に育つ、モロヘイヤの栽培(育て方)を紹介します。
種まき・育苗
モロヘイヤの理想的な発芽温度は25~28℃と言われますが、20~25℃でも4~5日で発芽しますので、住んでいる地域の気候にもよりますが、平均的に遅霜の心配のなくなった5月上旬には、栽培をはじめられます。
モロヘイヤは直まきもできますが、移植に大変強いので、苗を作って(育苗して)から、畑に植えつけるやり方をおすすめします。
モロヘイヤの種は極めて小さく(10gで約3,000粒程)、深緑色で光沢があります←画像①。
種は一晩水につけてからまくと発芽しやすくなります。
3号ポットに種まき用土を入れ、5~6粒ずつまきます。タネが小さいので、隠れるくらい薄く(約5mmくらい)覆土をし、水をたっぷり与えます。出来れば薄く敷き藁または新聞紙で覆いをしてください。気温が低いと発芽しませんのでご注意下さい。苗根は弱く、肥料負けするので、化成肥料はいれません。
早くて、2、3日で発芽します。発芽したら、敷き藁または新聞紙を取り去ります。発芽後しばらくは、温度の低下にご注意ください。表土が乾いたら午前中に水をたっぷり与えます。
双葉の芽が出ます←画像②。そこに本葉が出てきたら間引いて3本立ちにします←画像③。そして、本葉が3~4枚のころに1本立ちにします←画像④。草丈が15cmくらいになるまで育苗します。
ホームセンターなどで苗で買って、育苗の手間を省くことも出来ます。
植えつけ(定植)
育苗の段階で、草丈15cmの頃に1本立ちにしますが、定植する場合も、この頃です。
モロヘイヤは、日当たりが良く水はけの良い土地を好みますので、水はけの悪い土地の場合は、高畦(土をもり上げて高く作った畦)にしてください。
中性に近い弱酸性もしくは微アルカリ性土壌を好み、強い酸性に弱いので、植えつけの2週間くらい前までに石灰を施し、よく耕してから栽培にとりかかってください(特に土壌を選ばず、一般野菜と特に変わりありません)。
畝のサイズは、畦間(土を盛り上げた部分の列の巾)50~70cm、高さ10cmほどで、ここに株間30cm位で定植します。
植えつけの1週間前に畝の真ん中に深さ20~30cmの溝を掘り、堆肥と油かす、化成肥料を入れて埋め戻します。
定植して活着する(根づいて生長しはじめる)まで灌水しますが、着根して生育を再開したら水は不要です。
露地栽培では、外気温・地温が低いと生育が遅れることがあります。高温を好みますので、初期の生育はゆっくりですが、ポリフィルムのマルチング(←画像)で地面を覆って地温を上げたり、覆いをしてやると生育が促進されます。
収穫と摘芯・追肥
定植後3週間目くらいから、半月に1度の割合で、野菜用化成肥料・鶏糞・油粕等などを追肥として与えます。
追肥すればわき芽が伸ぴて、どんどん収穫できます。
収穫は、生育状況にもよりますが、梅雨が明けを目安に、7月中~下旬頃からで、草丈が40~50cmほどになったら収穫できます。
7月~8月は葉が生い茂り作業がしにくくなるので、その前に追肥するようにします。生育が盛んになったら、水と肥料は切らさないことです。
モロヘイヤは放っておくと中心の茎がぐんぐん伸び、2m程にもなってしまいます。草丈が40~50cmほどになったら、摘芯すると、わき芽が伸びて収穫量も増えます。
摘芯は、主枝の先端から15cm程度を摘み取り、草丈が35~50cmほどの高さを保つように行います。摘芯を兼ねながら、収穫をするようにします。葉だけでなく、葉を3~4枚付けて枝先ごと摘み取って収穫します。
葉が触れ合うようになったら、良い芽を選び残す、間引きを行います。
鮮度が落ちると堅くなってしまうので、収穫したらその日のうちに食べるようにしましょう。
採種
収穫は、茎が赤く葉が硬くなり食べられなくなる9月末で終了し、モロヘイヤをそのまま放置します。
すると、枝葉に花が咲き、細長いさやがつき始めます。実が熟すと、さやが茶色く枯れます。さやが茶色く枯れ割れる前にさやごと収穫し、採種(タネを採る)します。
タネは、風通しの良い場所に置き乾燥させ、湿気のないガラス瓶やポリ袋などに入れ、冷暗所で保存します。
細長いさやの中に無数の緑がかった小さな種(一つのさやに150粒程)ができます。種子は強い毒があるので食べられません。
モロヘイヤに付く害虫と病気
病害虫による特別大きな被害を受けることはあまりないのですが、コガネムシやハマキムシ 、ヒメシロモンドクガの幼虫、シンクイムシ、ヨトウムシ、ハダニ、チャノホコリダニ、オンブバッタなどに穴をあけられます。また、密植したり風通しが悪いと葉にカビが生えることもありますので、これらは全て取り除いてください。
モロヘイヤは葉を食べるのであまり農薬は使えません。消毒された種子と十分な畦間、水はけが良くきれいに整理された畑を心がけましょう。ツナソ属植物には炭疽病、胴枯病、斑点病などの病気もありますので、ご注意を。